大石泉の下乳空間における一考察~または大石泉は如何にしてお腹にパララックスを生み出したか~

この投稿は葛城真治さん(@takepon158)主催の生放送企画 【クソ企画枠】モバマス身体派第3回【テーマ:お腹】に寄稿したものを加筆修正したものです。

 


 「おなか周り」というのはどの部位が大事な要素だろうか。
ウェストライン。くびれ。へそ。鼠径部。様々な回答があるだろうが、私は、おなか周りを引き立てる要素は、この限りではないと考えている。
私の導き出した結論から言おう。おっぱい——それも、乳の下の空間こそが、おなかフェチシズムを深める最大の要素だと。

女の子の衣類がおっぱいの主張に負けたとき、世のイラストレーターはいくつかの択を強いられることをご存じだろうか。重力を超えた力で乳の周りに張り付き、おっぱいの丸みと大きさを強調する「乳袋式」や、ウェストに存在するベルトにトップスをインし、おっぱいとの大三角形を生み出す「乳テント式」等が有名な例であるが、本稿では「乳カーテン式」を、大石泉のカードで紹介しよう。

 

乳カーテン式」は、おっぱいで押し上げられた衣類が乳袋を形成するのではなく、垂れさがることでカーテンのように見えることから作られた表現だ。
当然、ウエストラインが太く見えることにもつながる諸刃の剣であるが、上着を羽織ってボタンで留めずに乳カーテンを形成することによりこの弱点を克服することができる。

[ハピネスロード]大石泉をご覧いただきたい。

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[ハピネスロード]大石泉

これは、この弱点克服手段をフルに活かした例であり、お腹に周辺の空気を吸い込み続けたくなるような理想的な空間が広がっている。

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水色で図示したエリア

この方法の利点は単にウエストラインが太く見えないだけにとどまらない。

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[ネイビーウェーブ]大石泉+

上の[ネイビーウェーブ]大石泉+の赤線のように、ウエストラインがはっきり目視できる。


本来の「乳カーテン」であれば、ウエストラインが目視できないことにより仮想的なウエストラインが形成されてウエストラインが太く見えてしまうが、このように正面を留めない上着による「乳カーテン」であれば、ぱっと見の仮想的なウエストラインと目視可能な実際のウエストラインの対比を生じさせ、見た目以上にウエストが細く見えるのである。

この嚆矢として[アンブレーク]大石泉+がある。

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[アンブレーク]大石泉+

肩から布を垂らすことでまさに「乳カーテン」の形成を狙い、腰をリボンで留めることによりウエストラインを見せることに成功している。ところが、布が袖と一体化していることにより、腕を挙げるなどすると全体が持ち上がってしまうことが想定され、また長さの不足により仮想的なウエストラインの形成には至っていない。

 

[ニューウェーブ・ネイビー]大石泉+は、この欠点を補うため[ネイビーウェーブ]大石泉+を正統進化させることでより理想的な「乳カーテン」の形成へと前進した。

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[ニューウェーブ・ネイビー]大石泉+における下乳空間とウエストライン

だが少し待ってほしい。[ニューウェーブ・ネイビー]大石泉+の向かって左側が特に分かりやすいが、一度ボディラインに沿って垂れているにもかかわらず、みぞおちのあたりからボディラインを離れるように膨らんでいる。乳頭からの垂れさがりによって形成される「乳カーテン」としてはいささか不自然であり、乳房を包み込む「乳袋」にすら見える。

 

ここで[ビット・パフォーマー]のセリフを引用したい。

髪のなびき方で、見え方も…

 

そう、この女は見え方を計算することを知っている。意図的に衣装に組み込み、更にふくらみを持たせることで相対的にウエストをより細く見せたのみならず、最初にご紹介した「乳袋式」のような張り付きによっておっぱいの大きさをも強調することに成功した。

大石泉のシミュレーション能力と向上心の高さによって胸部・腹部空間における衣装の真骨頂を生み出したのだ。

 

[ニューウェーブ・ネイビー]にもそれを示唆するセリフがある。

この衣装だとどのぐらい見えるのかなって確認を…だ、大事なことでしょ

 そう、このセリフはまさにこの下乳空間の形成について考えていたのである。
このセリフを読んでやましいことを想像した紳士淑女の皆様には大いに反省していただきたい。私も反省する。

 


 寄稿・本投稿にあたり校正を手伝っていただいたやきゅさん(@8_9_00)、ありがとうございました。


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冒頭でご紹介した『モバマス身体派』第4回(3月末放送予定)のテーマは「脇・手・腕」です。

以下の埋め込みから投稿できますので是非お願いします。

ws.formzu.net

シークレット{Cipher},と暗号の話 [大石泉すきAdvent Calendar2020]

この記事は『大石泉すきアドベントカレンダー2020』13日目の記事です。


 

皆さんはシークレット{Cipher},というユニットをご存じでしょうか?

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鷺沢文香神谷奈緒・大石泉の3人で結成されたこのユニットは、2019年のドリフェス新春SPに登場し、周りが新年の祝いに湧いている中で、時節の話に目もくれず暗号の話をし続けました。

更にススメ!シンデレラロード大石泉編では自主トレをすべきか泉が奈緒・文香に相談するシーンに登場し、登場歴は少ないですが強い親密さを感じさせる一幕もありました。

そんな暗号をテーマにしたユニット・シークレット{Cipher},にちなみ、シークレット{Cipher},通信部では総選挙企画、1.5th企画と2度謎解き企画を実施しました。

twitter.com

今回はその中からピックアップして暗号について理解しながら、ユニットへの理解を深めたい、そんな記事です。

 

暗号の種類

みなさんは暗号と言われてどんなものを思い浮かべるでしょうか。

『山』『川』のような合言葉や、一見すると意味不明な英字の羅列など、さまざまだと思います。

ユニット名の"Cipher"もまた、暗号の意ですが、暗号を意味する英単語には他にも"Code"があります。では、この違いはどのようなものでしょうか。

Codeとは、語彙そのものを置換する暗号を指します。『山』『川』はそれ自体が何かを意味するわけではないですが、事前に『山』に対する『川』が答えという約束をしておけば、約束を知らない人には分からない暗号として成立します。

一方、Cipherとは単語などの意味に関係なく文字ごとを決められたルールで置き換える暗号を指します。例えば『a』を『f』、『b』を『g』、『c』を『h』のように5個後ろにズラすというルールを決めて、『cat』を伝えたいときには『hfy』と送るといった具合です。

CodeではなくCipher

英語圏では、友人間のみで通じるような特別なやり取りを「secret code」と呼ぶことがあるようです。しかし、単に暗号、そして熟語としても使えるCodeではなく、Cipherをユニット名に使用しています。

Cipherの原義は数字の0です。この読み方をすると、『secret{0},}、「秘密はない」とも取れます。

お互いに秘密がないこともまた、親密さの表れではないでしょうか。

そして、最後には「,」、コンマが付与されています。一般にコンマはセパレータ、つまり区切りとして使用されます。「鍵を開けた先」というセリフにあるように続きを連想させる記号のように思います。シークレット{Cipher},の鍵の先がとても楽しみです。

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暗号の「鍵」

暗号を作成するルールを「鍵」(Codeで作成された場合は特にコードブック)と言います。

この鍵は、まさしく暗号を読むためのキーアイテムですが、この鍵を共有している当事者をメタ構文として送信側を「Alice」受信側を「Bob」と呼びます。

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泉が言っている「アリスとボブ」はこのことを指しています。文通という表現が文香からの影響を感じられますね。

このほか、暗号を改ざんせず傍受する受動的な攻撃者を指して「Eve」が使われたりします。ありすとイヴの参入があるかも…?

暗号の例・シークレット{Cipher},通信企画第二部

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こちらは去る5月11日、シークレット{Cipher},通信部の企画で出題した楽譜暗号です。

「鍵」を推理し、暗号を読み解いてみてください。

・答え(反転)

「鍵」五線譜の下から音符がある場合は1,音符がない場合は0として5桁の二進数で読み取ります。

「暗号文」10010,00001,10011,00101,00001,00011となっています。十進数に直すと18,1,19,5,1,3となり、アルファベット順に取ると"raseac"となります。同様に、ヒント部分はOHISHI IZUMIを転写しています。

・暗号の解読と発展

こうした、機械等を用いない置換の組み合わせによる単純な古典暗号は、アラブの哲学者キンディーによって頻度分析で解読できることが知られています。

頻度分析とは、例えば英語の場合、e,a,t,i,o,sなどが多く使用されるため、暗号文中に多く出現する文字をそれらに当てはめることで元の文章を推測する暗号解読方法です。このほか、例えば1文字のみの単語であれば不定冠詞の"a"や一人称"I"、3文字の単語であれば"the","and"などの短い区切りで推測をすることもできます。

このように頻度分析は、文字の出現頻度やアナグラム等の文章、言語に対するセンスが要求される手法です。

しかし、20世紀からは次第に早く暗号化・復号ができて解読されにくい暗号が求められたことで近代的な機械式暗号が登場しました。ドイツのエニグマ暗号機はその中でも特に有名なもので、文字を打つごとに内部に格納された円盤が個別に回転し、複雑な暗号を生成しました。(なんと最後の暗号が解読されたのは2013年、7年前のことです。)

更に、コンピュータの発展により、暗号の場は語学の世界から数学の世界へ移っていきます。現代的な暗号通信では数学的な特性が多分に取り込まれ、暗号の安全性をより高めています。

一方で、こうした暗号の体系は芸術分野にも用いられました。その皮切りとなったエドガー・アラン・ポーの『黄金虫』を始めアーサー・コナン・ドイルの『シャーロックホームズ』シリーズといった小説、先述のエニグマを題材にした映画『イミテーション・ゲーム』、瞳に文字が隠されているとされるダ・ヴィンチ作の絵画『モナ・リザ』、音楽家バッハは自身の姓Bachを音で表現して楽譜に取り込むなど、その使用例は多岐にわたります。

・まとめ

シークレット{Cipher},は古典暗号で活かされる「語学・文学分野」と現代暗号で活かされる「数学・コンピューティング分野」、そしてその暗号を活用した「カルチャー分野」と一見ばらばらのジャンルに見えて暗号という共通因数でうまく括られた面白いユニットだと思います。

特に、泉にとってはツアーの役柄ユニットを除いて『Izumi feat.AKIHA』以来の特技を前面に押し出したユニットだと言えます。

文香・奈緒・泉を暗号で強く結びつけたきっかけや、冒頭で述べたほど親密になるまでの過程など、気になる要素がたくさんあります。

これからの展開でこれらの謎が解き明かされるのが楽しみです。

・宣伝

2021年1月5日、シークレット{Cipher},は初登場から2周年を迎えます。2周年に合わせてシークレット{Cipher},通信部ではアニバーサリー企画を準備中です!是非ご参加のほどよろしくお願いします。企画詳細は決定次第Twitterでお知らせします!